糞アプリには実はさまざまな禁じ手が隠されています。
ヒットするために何をやるというアプローチよりも糞アプリにならないために「何をしないか」というアプローチの方が共通点を見つけやすそうです。


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●糞アプリだと思う7つの瞬間


1.いったい何をやればいいんだ?
開発者がユーザにやらせたいことがハッキリしないのは女性がぐずぐず言って何かを要求するのに似ています。
「おい、はっきりしろよ、はじめっからそう言えばいいじゃないか。」
こんな風に思えるようなアプリは致命的です。



2.どうやってやるんだ?
ユーザは難しい作業をしたくありません。
多くのアプリ開発者はまるで最新型の洗濯機やカメラをつくろうとしがちです。
でも、あなたが作っているのは洗濯機でもなくカメラでもなく、のっぺりしたiPhoneのアプリです。
iPhoneは道具としては最悪なんです。
ギターはフレットがあるから目をつむっても弾けるけどiPhoneは無理です。
もともと感覚的ではない延べ板に対して感覚的に作業してもらうには、幼児やおじいちゃん向けに作るような感覚でつくってちょうど良いのです。



3.うわ、つかいにくい!
やり方はわかってもボタンが押しづらかったり感覚的でないようなユーザインターフェイスに出くわしたとき、人はイライラします。
例えば最新型の公衆トイレで水の流し方がわからないとき、
「俺をなめているのか」と思う人もいれば、
「みんなもわからないはずだ」と自己弁護するように他人をひきあいに出す人もいる。

冷静になって考えたら開発者が悪くないことでも糞アプリだとレビューに書いたりします。
これは仕方がないと諦めましょう。怒らせてしまったら最後だということなんです。
ただ明らかに開発者が悪いこともあります。操作性の難しさをゲームの難易度にするような時です。
ユーザは明らかに自分のミスだという場合はそのゲーム性に納得しますが、
操作性が悪いから死んだとユーザが思ってしまえばそのアプリは速攻で削除されることになります。



4.誰がもう一回やるんだよ。
一回やれば十分というアプリは悪評がつきやすい傾向にあります。
その逆を考えてみれば明白です。
何回もプレイしたアプリはそれだけ時間をかけているし楽しんでいるという事実ができているのです。

これは一度やった男に女は悪く言わないというのと同じです。
自分が決めたことを正当化するのです。

開発者は「ダウンロードされたら勝ち」とさも「女とやった」ように感じるわけですがそれは間違ってます。
まだユーザは何にもしていないです。
勝負はダウンロードした後、ユーザがどれだけ「プレイ」を刻むかなのです。



5.達成感がない。
開発者は糞レビューと書かれるのが怖いからでしょうか、
iPhone所持者をライトユーザと決めつけ簡単なゲームや初心者向けのものをつくりたがります。
「子供向けの」という説明のついたアプリは要注意です。
人間は難しいことをやりとげた時に快感を感じます。
子供だましのお遊戯をやらされているととたんに退屈になってしまうのです。



6.音やデザインに違和感。
投手が故障するときは、たいてい肩や肘に違和感を感じています。
この違和感というヤツはすぐに慣れればセーフなのですが、いつまでも残っていると終わりです。
このいつまでもというのはアプリの場合数分のことをさします。
数分後には閉じられて二度と起動されることなく終わるのです。

開発者は何度も何度もアプリ画面を見ているため、厚化粧に気づかないマダムのように見慣れてしまいます。
でも、ユーザは一瞬にして最高かそれ以外かを判断してします。

ベッカムがボールを蹴ったとき、クラプトンがギターを弾き始めたとき、
一試合を見なくても、一曲を聞かなくても、一瞬にして良いものは良いと感じるのがユーザなのです。

逆に一瞬でわかるのだから、色々な人に見せてまわればいいのです。
ただ、人は人間関係を大切にするから、絶対に本音を言わないです。
もし、その人がどんどん指をタップしてアプリを使っていったら良いアプリ、
指をとめて口先だけ感心したような声を出していたら悪いアプリです。
友達が本気で感動してくれないようなアプリは絶対に出すべきではないです。



7.何かを邪魔するアプリ
広告が邪魔をして操作性が悪くなるアプリや、課金しないと有利にすすめられないと思われると、 レビューで悪評がつきます。
仕方ないといえば仕方ないのですが、ユーザは開発者のジレンマをこれっぽっちも理解はしてくれません。

広告はプレイ画面におかないということで対応できるが、アプリ内課金の場合はその存在だけでまず「守銭奴」扱いされてしまうことがあります。

基本的には課金しなくても全てプレイできるように、アイテムやコインをバンバンあたえて、
ヘビーユーザのための特別メニューという文脈を丁寧につくる必要があります。

また、アイテムやコインをバンバン使わせて消費サイクルを麻痺させるというやり方も有効です。
セックスは挨拶がわりというスタンスを醸し出しあえて大切に扱わないのと同じ寸法といえましょう。



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「なんとかサービスはまわっているんだけど、劇的に利用者が伸びない」
「リアルのビジネスをしているんだけど、ITを駆使して集客を改善したい」