ユーザがあるサービスに新規登録して解約するまでにもたらす売上げの総額を、 
ガラケー業者は「ライフタイムバリュー」と呼んできました。
つまり「そのひとからいくら儲けるか」という考え方です。
 

それに対して、ソーシャルアプリ業者は月次でしめて一人あたりの月売上を「月間ARPU」と呼んでいました。
月間ARPUの考え方だと、ユーザの登録時期のばらつきがでてきます。
また、広告出稿による効果とそのコストの相関を煙にまくことができてしまいます。


なので、広告で獲得した金額をいくら回収できたのかを考えるには、
総売上から会員数(ダウンロード数)で割った数字を「生涯アープ」として指標にした方がいいということになります。









●生涯アープの方程式 生涯アープ = 総売上 ÷ 累計ダウンロード
      = 一人あたりの広告収益 + 一人あたりの課金収益



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この考え方は、月額課金や、無料バラマキ型のサービスなどに利用されます。
ダウンロード課金のみの場合、そのアプリの単価が生涯アープと同値になるわけですから、
「単価105円のアプリの生涯アープ測ったら105円だったよ」という意味のない議論になります。
 
ワンショット型の課金ですと、ヘビーユーザからお金がとれないし、無料によるプロモーション効果が期待できません。
ビジネス的に効率的ではないともいわれており、多くのディベロッパーが「Free to Pay」モデルを採用しています。
なので、有料アプリのカテゴリーには、有名ゲームの移植や電子書籍と個人ディベロッパーの変なアプリに偏るわけですね。


たいていの高品質のアプリは無料で手に入ります。
Appleはアプリ開発者に自由な値決めをできる自由を与えましたが、
市場の競争原理により価格破壊がおこり、無料が当たり前となったわけです。

事実として、有料アプリのダウンロード数は伸びていないのに、 無料ダウンロードは1年で倍になっていたりします。

だから、私たちはまず無料でばらまき、広告と追加課金でペイしなければならないのです。
そのときに必要な考え方がこの生涯アープという考え方だったのです。

その昔、ガラケービジネスでは「生涯アープ>広告獲得単価」という方程式が成り立ち、多くの億万長者をうみました。
だいたい生涯アープが750円、広告獲得単価が500円という感じでした。

iPhoneアプリの場合、広告獲得単価こそ300円と低いものの生涯アープを300円にするのはかなり困難を極めます。
そこをどのようにコントロールして、ランキング効果やバイラル効果などの集客効果を高めるか、まさに事業計画の肝になっているわけです。




 【1話から読める20話完結のステップメール】
「なんとかサービスはまわっているんだけど、劇的に利用者が伸びない」
「リアルのビジネスをしているんだけど、ITを駆使して集客を改善したい」