投資家に事業計画書を見せると「それはアメリカで事例あるの?」なんて聞かれることがあります。
「そんなの自分で調べてよ」なんてボヤいてはいけません。
お金を持っている方が情報を待っていて、お金欲しい人が「お客さん」に営業をするというのは自然ですよね。
ただ実はこの時点で投資家は「事業家のもってくる情報」に翻弄されることになり、
「そうは問屋が卸すか」と色々な情報ネットワークを持っているようであります。
逆に投資家が事業家にアドバイスすることがあります。
その投資経験によるところの貴重な情報は「経営」において重要だったりします。
でも、やはり「経験」によるところで、未体験ゾーンに関しては頼りない存在の方が多いようにおもいます。
「まさかこんなに当たるとは予想できず投資チャンスを逃した」なんていう逸話はよく聞きます。
シリコンバレー界隈のベンチャーキャピタリストに元起業家が多いのは、
こういった勘がするどく、さらに事業家への理解があるからなんでしょう。
さて、事業を起こすときの情報フローを図にしてみました。
流れとしてはこんな感じです。
1)クリエイター(発案者=経営者)が事業計画を書きサービスをつくりながら投資家にもっていく
2)投資家(投資委員会)は事業計画書と現行サービスを判断根拠として出資をきめる
3)サービスがうまく回りだすとオペレーター(社員)が中心となって事業を拡大する。
4)オペレーターが拡大するとともにマネージャー(管理者)が必要となる。
5)マネージャー(管理者=経営者)はまた事業計画書をもとに追加出資を企てたり銀行まわりをする
こうやってみると、最初のクリエイターや、シードの投資家って、すごく重要ですよね。
彼らの判断がGOにならないと事業はうまれません。判断根拠の薄い中でやるんだから脱帽です。
しかも成功するとクリエイターはそのままサービスのお守りをするので、オペレーター化してしまいます。アイデアを持った人が定期的にでてこないと、そこの産業は発展しないようにみえます。
じゃあどこにそのアイデアを持った人がいるのでしょうか?
それはズバリ、大成功したサービスのオペレーターの中にいると思います。
大成功したサービスには何十、何百、何千というオペレーターがいます。
エンジニアのみならず、デザイナー、カスタマーサポート、マーケッター、プロモーションなどなど、
たくさんの人々がサービスを運用するなかで「ユーザ」と接しております。
ゼロからそのサービスを起こした人には引け目があるかもしれませんが、
ほんの一握りのクリエイターよりもはるかに母集団として大きく、ユーザ動向の機微を把握しております。
そういう人の中には、一般には気づかれていないような社会問題に直面しているかもしれません。
つまり、株主サイドの情報よりもユーザサイドの情報をたくさん知っているのが彼らです。
インターネット上において、貨幣経済から価値経済への以降がなされてきてますから、
投資家や銀行家にとって「よくわからないがユーザには価値あるもの」をたくさん知っていることと思います。
そこで6)を付け加えます。
6)オペレーターの中から新しいサービスを作りたい人間がでてくる
世の中の5%の人が「自分で判断できる」そうです。
その昔は資本主義社会におけるエリート層にそういう人が集まったそうですが、
今はエリートそのものがありふれてきたので逆に振れる人も増えてきたように思います。
オペレーターという管理されてきた人々の中にも5%ぐらいは「自分で判断できる」人はいるでしょう。
新規事業において、鉄板の情報源やノウハウなどありません。
人の言いなりでできるようなものでもありません。
だから「判断しちゃった人」が飛び出すんですね。
というわけで、マネージャー陣からオペレーターの奴隷解放と
IT業界のならず者の登場をお待ちしましょう。
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