もう遠い過去の記憶ではあるのですが、マルクス経済学とは土地を基準に経済がまわっていて、その理論をバランスシートというものに落とし込んだものだったような気がします。
アパート一棟を買ったときに家賃収益が入りますが、仕入れコストを毎年均等化したものを「仕入れ」として「利益」を確定させることができるというやつです。
例えば2000万円のボロアパートをかって20年にわたって3000万円の売上を得たとします。
1年あたりの仕入れコストを100万円で、1年あたりの売上げを150万ですね。
あーらふしぎ、毎年50万円儲かってますよってわけです。
本当は2000万円の残債を150万円ずつ減らしているわけですが。
こういう手法で銀行家や投資家に「事業の健全性」をアピールするわけであります。
初年度は1850万円の赤字でしたという風にならないというところがミソですね。
この考え方はネットビジネスの企業ではソフトウェアに対して3から5年間の減価償却が許されるそうです。
例えば投稿サービスをはじめた場合に、2000万円が開発費にかかったとしても、
毎月月割りで「56万円」を仕入れコストとみなすことができるわけであります。
一見健全そうに見えて怖いのがこの原価消却です。
実際は現預金を減らしているのに黒字をごまかせる厄介者であります。
これをiPhoneアプリにあてはめて、見てみるとトンでもないことがおこるわけです。
開発して3年たっても収益を生み出すアプリはほんの数%ですよね。
会社の法律が正しくても、お金がまわらなかったら意味がありません。
つまり減価償却などアプリ開発のおいては意味がないのです。
またその数%である収益回収を見込めるアプリはバージョンアップなどのメンテナンスが必要です。
つまり儲けなくても儲けても、「減価償却の概念が必要ない」ことがほとんどのような気がします。
アマゾンとかのクラウド使えば月額使用料できちんとコスト計算できますしね。
しくった時は開発のイニシャルコストが深くPLを切り刻みますからなんの慰めにもならないし、つまり儲けなくても儲けても、「減価償却の概念が必要ない」ことがほとんどのような気がします。
アマゾンとかのクラウド使えば月額使用料できちんとコスト計算できますしね。
あたったときは面倒なコスト計算をしなくちゃならないタダの貧乏神なわけでございます。
一方で、企業のPR目的で作られるアプリは、広告費で落とされるわけであります。
今後数ヶ月におよんでお客を運んでくれるものであったとしても、 仕入れコストで一括計上されるのであります。
同じアプリでも、企業の財務諸表によっては費用項目が違うことそのものが奇妙なものです。
今出しているアプリは、未来に作るアプリのPR行為ともいえるわけで、
いまの現預金を重視したお金の勘定をした方が健康的であります。
まあ、そんなこと言っても公認会計士の先生はしかめっ面するわけですけど。
iPhoneアプリの世界では、常に「次の1本が作れるか」という十字架を背負うことになります。
それは情熱的に続けられたとしても、開発者がめちゃくちゃやる気があったとしても、
お金が続かなければゲームセットであります。
最後の1本があたることもあるから最後の最後まで手金をつぎ込むチキンレースでもあります。
ならば、いつその最後の1本がくるのか、きちんと計算しておいた方がいいですよね。
システム開発費を減価償却扱いにして黒字計上している会社がいくつもあるようです。
しかし、それはビジネスモデルの変化に対しての蓄えがないことになります。
いわば、明日の元気を前借りしているシャブ中毒状態なのであります。
ある会社のiPhoneアプリリリースが止まったとき、それはこの黄色信号がパシャっと点灯しているとも見えます。
私たちは当たるまでやり続けなくてはなりません。やれないときは終わりの時なのであります。
「あなたはiPhoneアプリをやめますか、それとも人間やめますか?」
この張り紙をトイレに貼って、毎日生きている幸せを噛み締めるわけであります。
【1話から読める20話完結のステップメール】
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「なんとかサービスはまわっているんだけど、劇的に利用者が伸びない」
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