いまとなっては昔のことで記憶もさだかではないのですが、
たしか「株式会社」というしくみは、大航海時代の輸入業者にはじまったようです。
マルクス経済学の理論による「投資家の最適なリターン分配」を落とし込んだものだような気がします。


企業は「ゴーイングコンサーン」という事業継続を前提として考えられておりますから、 
ある月が赤字になってたとしても、事業の健全性が担保されていれば、 
追加融資や、追加出資だってありえるという考え方だったように思います。








ネット企業の中には収益がまったく追いついてなくても、
そのユーザ資産を高く評価して、買収してくれることがあります。


当時3000万人のユーザを抱えたインスタグラムはフェイスブックに10億ドルで売却しました。
1ユーザあたりにすると2800円の価値です。こんな夢がありえるのがこの世界のダイナミックなところです。


果たしてそのユーザが将来的に一人当たり2800円の価値以上の収益をもたらすかなんて考えちゃいけません。
競合を排除したり、競合に買収されるのを阻止したりという論理が働けばこうなります。
ちなみに、インスタグラムはもう2億人になってますからね。もう420円までさがってます。
普通に考えていいお買い物でした。16億ドルでユーチューブを勝ったのも今を思えば大変お買い得でした。


あなたの作ったアプリのユーザが、インスタグラムのユーザのように目新しい価値体験を経験しており、
それが何かのビジネスにつながるのであれば十分に可能性のある話ということになります。
つまらないカジュアルゲームを作っている場合ではありません。



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夢物語ではありますが、ここであえて釘をさしておきます。



【事業売却の落とし穴】
・ユーザ資産は、獲得した時点から刷れていき、どんどん目減りしていく。
・いま流行っているビジネスは高速で廃れ、常に新しいビジネスを創造しなくてはならない



でも、夢の出口(Exit)のことで今やきもきする必要はありません。
これからあなたのiPhoneアプリにおける事業計画に対して、
どいういうお金が期待され、どのように使っていくべきかを考えてみましょう。



まず出資についてですが、これは出資者とのご縁でしかないような気がします。
たいそうな理念をふりかざしても、みんな話半分できいてます。

 
ましてやiPhoneアプリの場合、開発会社の理念がいいからダウンロードするなんてユーザはおりません。
「ファッション」として流行っているアプリを落としているんです。
つまり、あてるセンスのある人か、あてる運が強い人が、この商売に向いてます。


既に当てている人に、これからも当て続けるのではないかと期待が投資家の心をくすぐります。
とはいえファンドから預かったお金をきちんと使わなくてはなりません。
新入社員の1年分の給料にも満たない金額の少額出資もはやっているようですが、
そこまでバーを低くしてもあれですよね。


なので投資家が受けそうな売り文句を考えるような暇があったら、
一人でも多くにダウンロードされるアプリに魂を注ぐべきといえましょう。


300万円の出資なんて一瞬で外注コストで飛びます。
例えば「世界中の言葉のギャップを埋める」なんてビジョンのアプリを作ったとしても
ユーザに刺さらずに糞アプリとして葬られます。
そしてまた投資家まわりして「ネイティブゲームはやらないの?」と聞かれて、
「絶対にやりません」と言ったら瞬間に交渉は終わりです。



こんなときに助けてくれるのが投資家ではなく銀行家だったりします。
例えばiPhoneアプリの開発スクールをやったとします。
そこで銀行家が、iPhoneアプリのような「ネイティブアプリの開発スキル」が、
今までの「Lampと言われるサーバサイドの開発スキル」の一部にとってかわれることを察知してくてれるとしめたもんです。



開発スキルのニーズがあり、継続的に収益が入ってくるという事実に対して、
「利息を払う能力がある」と見込んで、1000万円の融資をしてくれるわけです。


でもスクールビジネスは投資家のウケは悪いです。それはスケールしないからです。
「個人開発者の復権」というビジョンを掲げていも、それはただのスクールに過ぎませんからね。



投資家は、ファンドを説得しやすいトレンドのビジネスをやっている企業に興味があるみたいです。
企業価値(株式発行数×株価)が高くなりそうだったら、 株価が安いうちに買っておくという感じなのでしょう。


それに対して、銀行家はなんらかの資産価値を担保に「利息の支払い能力」があると見込んでお金を貸すという感じです。アプリ自体に資産価値がなくても、たくさんのアプリを作った実績とヒットさせた実績が、受託やスクールの源泉になることもあります。



やはりアプリを作らずに、道は拓けないですね。
おおよそ事業家という人は、観念的な社会的正義よりも、自分の好奇心に従順である限りは商売を続けられるものです。



Google兄弟の「全ての情報をインデックス化する」という好奇心、 
スティーブジョブズの「ゲームやカメラもできる電話をつくる」という好奇心、
「Apple、Googleを潰す」という好奇心など。



社会が求めていることは常に変化します。流行にはやり廃りがあります。
社会にあわせて意見をころころかえると、好奇心は「金儲け」だけが残ります。
そうなると、内心では嫌なこともやらなくてはなりません。
こうやって、企業の社員は入れ替わり、社長まで入れ替わっちゃうのであります。


でも純粋な好奇心は変わりません。
それがたまたま人々の心に刺されば、事業として存続します。


iPhoneアプリを作り続けてると、つくづくそう思うのであります。



企業は社会の公器であり、事業は顧客のためにあるといいます。
儲けを出して社員を雇えばそれでいいわけですけど、
同じ好奇心を持つ社員を雇って、この好奇心を受け入れるユーザからお金を貰うというのが健康的ですね。



「作りたいアプリ」を作り続ければ、それでいいわけでありまして、
あなたがやっていることが「ファッション」になるかどうかがポイントなのであります。



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