キムタクは、誰にも換えられません。
どのメディアにも互換性があります。
10年以上もトップで持続しています。
歌だけでなく、俳優、バラエティなどの拡張性があります。
倖田來未は、エロかっこいいという今までにない革新性があります。
そして、こういうタレントをかかえている企業は、
そういう予備軍をたくさんかかえています。
さてあなたのサービスは投資家からどう見られているでしょうか?
それでは5つの視点をあげます。
1.革新性
新しいユーザ効用の提供のことをいいます。
青色LEDやインターネット、ケータイの登場はまさにこれです。
ソニーは、ウォークマンで、「音楽を外に持ち歩く」という効用を世界で初めてうちだしました。
2.非代替性
簡単に言えば、お金で買えないものです。職人芸もそれです。
i-tunes、インテル、マイクロソフトは他に替えられない存在です。
3,持続性
プラダやヴィトンは、一度つかんだ顧客を離しません。
一過性のファッションで終わらないために、ユーザの興味を覚醒し続けています。
グーグルも知っている通りです。
根拠のあるモデルチェンジを繰り返すのは持続性を保つためです。
4.互換性
今あるインターフェイス以外でも使えることをいいます。
ウィンドウズのように互換性のあるミドルウェアのコストを負担する場合もあります。
誰かが負担したものに乗っかれる、これが互換性です。
ハードディスクからブルーレイ。
プロッピーディスクから、CD、DVD、メモリーフラッシュ。
PSP、ニンテンドーDS、iPhoneなどのゲームコンソール。
こういった変遷についていけるか、自分がプラットフォームになるかです。
5.拡張性
ある同じような用途での互換性と対になるのは、違う用途にも使われる拡張性です。
CDはソニーとフィリップスが共同で音楽再生用に作りました。
それがゲームソフトの流通に使われ、PCソフトの流通に使われました。
ただ、いずれはネットにより消滅するでしょう。
上記の5つのポイントに照らし合わせると、我々の業界におこりがちなウィークポイントも見えてきます。
革新性:
本来ユーザの新しい利用シーンを創出しなくちゃいけないのに、儲かりそうだからやると他人の真似事ばかりしている。
持続性:
一度ヒットを出すまではいいが、再現性を研究して次のサービスを出すところに目がいかず、マイナーモデルチェンジなどの中長期的な戦略を描けない。
拡張性:
モバイルで仕入れた情報やノウハウは他のリアルでも有効活用できるはずなのに、どうもモバイルで完結してしまう。
また新しいプラットフォームに顔をつっこまなきゃいけないところがどうもガラケーだけを市場だと制限してしまう。
非代替性:
社員流出で属人的な職人芸がなくなってしまう。代替できる権利は別のホルダーが持っている。
互換性:
オールドエコノミーと寄り添えばいいのに、自分たちの領域で戦おうとする
これが投資家たちのネット業界への一般的な見方ということでしょう。
インターネットビジネスでの、技術革新やアイデアは、革新性と代替性の領域がやりやすいとされます。
しかしながらリアルビジネスのように時間や関係や土地にしばられるわけでもないので、すぐに真似されるリスクがあります。
もっとも儲かりやすいのは、新しい効用を出し、新しい市場をつくり、なおかつモデルチェンジを繰り返すこと。
「技術革新」や「代替」とは別の領域になります。まさにiPod、iPhoneの作り出した世界です。われわれは、ここを狙っていかなくてはなりません。
ソニーは、MDへのダウンロードに固執し、音楽データ販売も自社レーベルを囲い込みしたいというところで、アップルにスキを与えてしまいました。ここにはユーザ視点が抜けていました。
ユーザは以下の3点しか見てません。
1.コスト
2.利便性
3.おもしろいか
ウォークマンの互換戦略、拡張戦略は、ユーザ視点を無視したものだったのです。
強いブランドという持続性も太刀打ちできませんでした。
このような例は、FOMAのテレビ電話など、意外にもたくさん埋もれています。
もしかしたらあなたのサービスもすでにそうかも知れません。
これを読んで、商売のめんどくささを感じるかもしれません。
しかしながら、マネージディレクター(業務執行のトップ)になりたい動きをしていれば、必ずサポートする人が出てきます。自分の実力の範囲以上の力を発揮できます。
スティーブは「何もつくらなかったのに、すべてをつくった」と言われています。
しかし彼は、頭の中にあるビジョンを明確に示し、ビジョンを実際に商品として形にできるのです。
今まで出て来た成功事例の裏には、誰かがコミットしています。そういう人にあなたがなればいいだけのことです。
まずは人任せにせず、この8つの視点の批判力をつけることです。
投資家と顧客の間にいることを意識することです。
目の前の顧客が真の決済者ではないときもあります。
それは次のビジネスモデルのテーマで深く学んでいきましょう。
(松永良輔氏「コア(競争力の源泉)とは何か?」の講義録 )
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