今となっては、友人なのですが、初対面の人から、ある商品を買ったことがあります。
S氏とは同級生がやっている飲み屋で会いました。
私の職業を知るや否や、
「ネット業界の人ってマーケティングがなってないですよね」とか言うんです。
そう言われると、彼の言い分を聞きたくなります。
「やり方(マーケティング施策)ではなくて、あり方(ビジョン)なんだよ」と。
で、彼の説明をききます。
「なるほどね、で、どんなツール使ってるの?
まぐまぐだとここがダメで、FBだとここがダメなんだよね」
ときいて、彼の使っているツールを買うことにしました。
「あとで、あの時、なんで買ってしまったんだろう」と振り返りました。
彼は、私の質問に答えただけです。
これが彼の営業手法なんだなと、思いました。
自分のサービスを売ろうとすると、
「自分のサービスを知ってくれ、知ってくれ」となります。
自分自身がコンサル業であれば、「お客さんにこうやった方がいいですよ」と教えたくなります。
決して受注をとりたいわけではなく、タメになる情報だから、どんどん教えてあげようとしたくなります。
これが「ありがた迷惑」なんですよね。
何か売りつけようとしているんじゃないか、これが相手の潜在意識にあります。
人間は殺されたくないための防御システムが脳みそにインプットされます。
向こうからやってきた情報に対しては防御線をはるわけです。
後日、彼の営業手法が確信犯だとわかりました。
俺は、まずあり方しか言わない。つまり正解は言わない。
そこで興味なければ仕事の話をすすえない。
そこで、相手から、「こういうところが問題だと思っていて、こうするにはどうすればいいんでしょうか?」
という具体的な悩みを開示してくれた時点で、その質問に対して返していく。
というわけです。
相手の興味ある部分にしか答えていかないわけですね。
しかも、「何事もあり方なんですよ」と謎めいた言葉をささやきます。
要するに、相手の気になりそうな言葉だけを言って、説明をあまりしないというわけです。
これって、釣り広告と同じ手法ですね。
ただ、釣り広告の裏には商品紹介というオチがあります。
彼の場合は、相手が喋らなければ、永遠に謎なんです。
相手が喋らなかったら答えない。しゃべればしゃべるほど、彼の術中にはまるということでした。
善意であっても、相手にとっていい情報であっても、しゃべらない。
相手から質問されるまでは。
この法則は「泣くまでまとうホトトギス」というお話でした。
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