iPhoneアプリを開発するものは、おそらく誰一人として糞アプリを作ろうとは思っていない。
なのに99%のアプリが糞アプリとしてiPhoneユーザからきついお叱りを受けることになる。
いわば、アップストアは糞アプリの宝庫だ。
私も糞アプリ愛好家として、さまざまなアプリを落としては
「だから糞アプリになっちゃうんだよな」と愛おしさをもって
糞アプリを「糞アプリなり」に堪能している一人だ。
「だから糞アプリになっちゃうんだよな」と愛おしさをもって
糞アプリを「糞アプリなり」に堪能している一人だ。
こんなところに彗星となってあらわれたのがクローバゲームズである。
なんと彼の作った作品は累計400万ダウンロードを超えている。
「それって糞アプリじゃないじゃん。」なんて言う奴もいるだろう。
しかし、方法論を間 違ったら、十分に糞アプリとして葬られる可能性を秘めていた。
ほんのわずかな差が、糞アプリと大ヒットアプリの分かれ目となる。今回は、
期せずして 糞アプリを作ってしまった開発者へのレクイエムになれば幸いである。
●糞アプリと大ヒットアプリの分かれ目はどこか
クロバーゲームズをスターダムにおしあげた出世作は、「毛抜きの達人」といわれている。
当時のクレジットネームは「jp20y」だった。
このゲーム、ただむだ毛を抜いていくだけだ。
だが、累計70万人がダウンロードした。
これは、ゆっくりとうまく根こそぎ毛を抜くだけのゲームシステムだ
(ゲームシステムと呼ぶまでもない!と怒られそうだが)。
これは、ゆっくりとうまく根こそぎ毛を抜くだけのゲームシステムだ
(ゲームシステムと呼ぶまでもない!と怒られそうだが)。
「ズームイン」に紹介されたから大ヒットしたという説もある。
続いて25万ダウンロードされた「おにぎり職人」はもうちょっと複雑なプレイをユーザに課している。
梅を真ん中において、ノリをいい塩梅に敷かなくてはならない。アプリ評論家筋によると、
これがヒットしたのは、タイトルがセンスよかったとか、アイコンが奇麗だったなどといわれている。

ここまでは誰もがラッキーヒットだと思っていたが、それを覆すように、
「角栓にゅるっ」は45万ダウンロード、「かまぼこ捌き」が25万人がダウンロードした。
「かまぼこ捌き」にいたっては、「捌き(さばき)」という漢字が読めなかったからだという学説もあったが、これで、まぎれもないヒットクリエイターの仲間入りを果たした。
それでもアップストアは厳しい世の中である。
年末にブレイクした時は、糞アプリ愛好 家たちから「年明けには忘れられるだろう」なんて囁かれた。
しかしながら、クローバゲームズは芸風は変えずに、
年明け早々から、「いも収穫」 (25万ダウンロード)、「バーガー職人」(25万ダウンロード)、「釘打ち名人」(25 万ダウンロード)と快進撃は続くことになる。
「なんだ、25万ダウンロード以上いかないじゃんか。自社広告で25万人を横流ししているじゃないか」なんてヤジもあったが、「ソフト職人」で50万ダウンロードを樹立し第2黄金期を築いた。
さて、結論を急ごう。クローバゲームズの作品のヒットの裏には、結果画面の巧妙さがあると筆者は分析している。
論より証拠、結果画面をまずは見てみよう。
どうだ。もう一回やりたくなるではないか。
この結果画面をクライマックスにもっていくためゲームはきわめて単調にコントロールされている。
メインプレイにハマってもらっては困るので、十秒ぐらいで終わるようにできている。
そこでこの画面が出るわけだ。
おそらく、最初は誰もがこう思う。
「なんだよ。この糞ゲームは。でも、もう一回やってみよう。折角ダウンロードしたし10秒で終わるじゃないか」
そして、気づいたら何度もやっており、「新記録」が出るたびにほくそ笑む。

このようにプレイヤーは、次の結果が見たくてしょうがなくなるという設計なのである。
なかには、どうやったら高スコアになるんだろうと真剣に攻略しようとする奴も出てくる。
そして、ゲームセンターでランキングを見て、
「俺の他にも、まじめにスコアを刻んでいる奴もいる・・・」と思うからなおさら熱中するのだ。
「この糞アプリ、俺は楽しんだけど、他の奴らは酷評しているんだろうな」
だから、俺が擁護してやろうと、レビューを書きに行く。
ところがどっこい、誰もがいいレビューを書いている。
「そうだ、これは最高のアプリなんだよ。」と、
自分が心の中で糞アプリ呼ばわりしたことを後悔するというわけだ。
自分が心の中で糞アプリ呼ばわりしたことを後悔するというわけだ。
そして、満を持してでてきたクローバゲームズの最新作が「エッグ狩り」。
たまごを飛ばして、空中に浮かんでいるたくさんの卵を取るという、アンビリーバブルな内容となっている。
これを企画書に書いて事業部長に稟議を申請したら必ず落とされるような内容だ。
さすが、クローバゲームズ。誰もマネしようとしない所を攻めるなんて、いいところを突いてくるぜ。
ゲーム内の説明にて「ゲームの意味について考えることはやめましょう」と書いてある。
そりゃそうだ。メインプレイ画面なんかどうでもよく、結果画面のフィードバックシステムで、
基本サイクルを廻しているんだから。
「あんなのはゲームじゃないよ」という、一生懸命に高尚なゲームを作りながらも、クローバゲームズに完敗した開発者の負け惜しみを鼻から想定してあざ笑っているかのようでもある。
2011年は糞アプリがたくさんあれども、どれもパンチが効いてなくて困っていた。
今年はクローバゲームズのおかげで、糞アプリがむしろ潮流になり、ますます楽しめそうな予感だ。
●あなたの糞アプリをヒットをさせるための5箇条
読者の中に期せずして糞アプリを出してしまった方がいたら、ぜひ下記の5箇条を参考にしてもらい、テコ入れをしてほしい。 この手のB級アプリにニーズがあることはわかった。
でも、あなたのアプリには、ほんのちょっとのスパイスが足りなかったのだ。
1.アイコンを同系色でグラデーションを駆使して奇麗につくる
2.タイトルをトンチが効いたものにする
3.ゲームプレイ時間を十秒程度に設計しなおす
4.結果画面はゴージャスに。そして分析的に。とにかく、もう一回見たくなるようにする
5.1個当たったら矢継ぎ早に芸風を変えずに量産する
●日本のB級ゲーム市場の新法則
実はこの原稿を書いた後、また彗星が現れた。
cocolo-bit(ココロビット)という個人開発者だ。
彼はクローバゲームズをアプリをよく研究しており、クローバゲームズの本人がブログで糾弾したことがかえって、ココロビットを有名にしてしまった。
「かさぶたはがし」の大ヒットにはじまり、「チャーハン作るよ」「空手チョップ」 「コロンブスのタマゴ」「早撃ちガンマン」「気合いビーム」「おそうじロボ サンバく ん」などを矢継ぎ早に発表、いずれも数十万ダウンロード以上で、クローバゲームズを完全に押しのけてしまった。
B級アプリの世界では以前、ラッキーゲームズが頂点をきわめていたが、人気のサイクルは非常に早く、いかに旬なうちにダウンロードを稼ぐかがポイントであることを本人たちこそわかっているようであり、最盛期は週あたり1本のペースでアプリを量産するという共通点がある。
また、ゲームカテゴリでは、ゲーム会社がソーシャルアプリなどの大作ゲームを作る傾向にあり、足の速いカジュアルゲーム群を個人開発者が担うような構図となっており、 2012年に来てちょいゲーがまた流行り出したような感がある。
レベルの高いカジュアルゲームが中心の北米や欧州ではヒットは狙えなくても、日本ではB級ゲームで、鬼の居ぬ間の荒稼ぎができそうだ。
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