iPhoneアプリの開発者は自分のアイデアを世の中に問いたいと考えるようです。

それがアップストアの魅力なのだから仕方がありませんが、
所詮あなたの着想は60万アプリの中でおおよそ具現化されています。
だからパクった方が速いのです。




それは卑怯だという方がいます。
でもほとんどの競争社会においてその市場論理によりパクリは消費者からウェルカムとされます。


例えば、吉野家が「豚キムチ丼」を出して松屋もそれを出したとします。
これに対して人々は「松屋がださい」ということにはなりません。


松屋のお客さんは「松屋の豚キムチ丼」が欲しいのです。
かつて、松下電機は「マネシタ」と揶揄されたそうです。

松下幸之助は、電化製品は水道のようなもので、
どこでもだれでも当たり前のように使われるべきだと説いたそうです。

音楽の世界では、ビートルズが頂点を極めるやいなやビートルズのようなグループサウンズが流行りました。

でもビートルズは文句を言いませんでした。
むしろビートルズが元祖なのだから自分たちの音楽をパクったフォロワーができて、
ポップミュージックが形成されたのを喜びました。

元祖であっても次の時代には生き伸びられないこともあります。

コダックはデジタルカメラを発明しました。
でもデジタルカメラの世界では競合他者が勝ち自分の首をしめてしまいました。
Appleもかつてはマイクロソフトにパクられて、ウィンドウズが席巻してしまいました。

Googleオーバーチュアのマネをして彼らにパテント料を払い続けています。

パクって困る事はありません。パテント料を払えば済む事がたくさんあります。



では実際にiPhoneアプリの世界ではどんなパクリ劇が繰り広げられているのか見てみましょう。



●「クラッシュザキャッスル」をパクった「アングリーバーズ」

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人工投石機で石を投げて建物や兵士を破壊するという「クラッシュザキャッスル」はもともとフラッシュゲームで公開されておりiPhoneアプリ化したのも速かったそうです。

最近リバイバルヒットをしたときに「アングリーバーズのパクリだ」というレビューが相次ぎましたがそれは間違いでした。
つまりユーザはテキトーなことを言うものです。
アングリーバーズの場合、完全に世界観と操作性を書き換え「パクリと言わせない」努力がこのゲームシステムの元祖と認識されるような作品となったのです。

スペースインベーダーや、パックマン、ゼビウスなど、
ゲーム業界の人ならどのゲームが元ネタなのかはわかるそうです。
 アングリーバーズもまた「一般の人にとっては大ヒットさせた者が元祖として君臨する」という好事例となっております。



●「ディノラッシュ」をまるパクリした「カーズ2」

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あのピクサーが人気ゲームをパクったのだからひとたまりもないです。
ステージ制を採用した違いはありますが、ゲーム性はそのままでデザインを変えただけの事例であります。
このようなパクり方で怖いのはユーザから「劣化模倣」という酷評を浴びるリスクです。
しかしさすがピクサー、やはり芸がこまかく、ユーザのネガティブ反応をシャットアウトしております。

天下のピクサーだって本気を出してパクってくる世界がiPhoneアプリなのです。。
ハイテクベンチャーの人たちはよく「自分たちの分野に大手が参入したらひとたまりもない」なんて言っておるようです。
私たちも同じです。自分たちが最高なんて思ってたらすぐに巨人に食い尽くされてしまいます。

だったら巨人をパクってそれを上回った方が面白いのです。
ハイテクベンチャーは自分たちでバリューチェーンを築くことが難しいために大手に勝つことはまずありません。
でもラッキーヒットが毎日繰り広げられるアップストアでは、個人が大手に勝つことはよくあります。
これが非常に幸運なことと気づけば、我々の進むべき道は自ずと決まってくるのです。



●パピジャンプをパクったドゥードゥルジャンプ、そしてメガジャンプは新境地

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はじめてJavaゲームが搭載されたi-modeで人気を博していたのがパピジャンプです。
彼等はいち早くiPhoneアプリに移植にしたが、ドゥードゥルジャンプが大ヒットしてしまいました。
パピジャンプはデザインやゲーム性が陳腐すぎました。
ドゥードゥルジャンプをさらに進化させたのがメガジャンプで、跳び板がなくコインをとると上昇気流を作るという異才ぶりが好評をはくし「ジャンプゲー」というiPhoneならではのチルトゲームが形成されました。




●誰が元祖なのかわからない「フリックゴール」

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フリックサッカー、フリックゴールなどの名前で親しまれるペーパートスのサッカー版は、 どれが元祖がわからないほど色々なディベロッパーがこのゲームを作っています。パクる方が多くて抜きん出た存在がいない場合はレビューなども荒れないようです。
オセロや将棋、麻雀と同じような扱いになるみたいです。



●自分で自分をパクるラインシリーズとクローバゲームズ

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似たような芸風を貫き通していて人気のディベロッパーは、アメリカではラインシリーズ、日本ではクローバゲームズです。
ラインシリーズは、「ラインランナー」「ラインバード」「ラインバイカー」など、すべてタイトルに「ライン」をつけ、デザインも統一して独自ブランドを作り上げております。ゲーム性はかなり難しいところもユーザとの予定調和になっています。

それに対してクローバゲームズは、「バーガー職人」「ソフト職人」といった独自の世界観をかもしだすセンスのタイトルと同系色のデザイン、そして20秒で終わって結果を出すという予定調和で人気を博しました。
しかし本人もブログで摘発したようにココビットという開発者がその世界感をパクり、クローバゲームズの人気を上回ってしまいました。
さらに別の開発会社が「レジの達人」という似た路線のアプリを出し大ヒットをマークしました。

このアメリカ人開発者と日本人開発者の違いは、アメリカ人の方は技術的難易度が高い分野のアプリを出したために競合を排除できたが、
日本人の方は、たいしたスキルでもないために、後塵を作ってしまったということであります。

また、クローバゲームズは「俺のゲームをパクった」なんて言うものだから、周りがしらけてしまい、
ラッキーヒットの神様までそっぽを向いてしまいました。

パクる奴が出てくるのは大ヒット経験者にとっては当たり前の覚悟であるし
自分の作り上げた世界が一つのジャンル形成になったことをうれしく思うべきでありましょう。
自分の方が先に出しているのだからパクられる前に、前作を葬り去るような上回る作品をだせばいいのです。
 


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